悪人

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「「これからの<正義>の話をしよう」という本がベストセラーになってる。
<正義>というパラダイムが変わりつつある昨今、今一度正義とは何なのか?
学生達と議論してその意味を問い直そうという狙いが受けているのかもしれない。
なぜ世界中でこの本がベストセラーになっているのか?
各国で微妙な差があるのであろうが、例えば日本では<オトナの言動>が<正義>よりも
往々にして優先される。イヤイヤ、優先順位を下げちゃいけないよ~というのが主な論旨だ。
そんな内容が、超資本主義・効率主義・宗教原理主義・共産主義の各国の若者に受けているのかもしれない?

原作の「悪人」を読んだ時、上記のような期待をしながら読んだ。
(そもそもそんな期待をするのがマチガイかもしれないが、
タイトルが<悪人>だったら期待しちゃうよ~)
そういう善人や悪人、避けがたい業によって罪を犯す等々、想像したが
そういう内容とは程遠かった。
とある青年の殺人事件に絡んだ愛の逃避行物語、ただそれだけ。

孤独や焦燥感等、現代の若者特有の・・・話にするのであればアプローチがちがう。

松本清張の芥川賞受賞の名作「或る小倉日記伝」のように
「ある長崎と佐賀のメール@ケータイ・・愛の逃避行」とでも書いていてくれれば
最初から読まない。

しかし映画では素晴らしい点がいくつかあった。
ブッキーのブキヨウなイケテナイ青年振りが表情だけでなく
歩き方、立ち姿の不格好さが素晴らしかった!

深津絵里は言うまでもない!

そして李監督も素晴らしい!
単なる男女の共感しづらい逃避行物語に、孤独感、焦燥感でシンパシーを呼び起こし、
我が娘を足蹴にした憎き男に<スパナすら使えない柄本明>と、
我が孫息子が犯した罪に<正対しようとするきりんさん>
ここでは語る時間は無いがキチッと見せているのは素晴らしい。

悪人というタイトルをつけるなら
この<昭和世代の正義漢>と<平成世代の悪漢>に焦点を絞って物語は転がしていくべきだ。

つまり「これまでの正義をこれからの正義へ」という世界中に伝わる命題を物語にしてこそ
題名は『悪名』・・・いや『悪人』やろ! なぁ 清次!」

「へい兄貴! 梅にウグイス 松に鶴 この朝吉に清次を知らんとは・・・おたくらモグリやなぁ・・」



 
この記事へのコメント
Oさんコメントありがとうございます。
この映画を小学校4年生の息子と観ました、今の日本が抱える様々な問題を小学生と話す良いきっかけになる話です。
ご活躍期待しております。
Posted by たかむね at 2010年10月04日 08:41
私もマイケル・サンデルのこれからの「正義」の話をしようを読みました。
私にはこの本、難しく物事を混乱させて口説いているようにしか読み取れず、納得できる内容ではありませんでした。もっと自分に知識なり問題意識への追求が出来ないと読みきれないのかもしれないと反省しました。
Posted by キキ at 2010年10月08日 23:54
たかむねさん、コメントありがとうございます。

キキさん、コメントありがとうございます。サンデル氏の問い掛けは、そんな状況ありえない!と答えれば済んでしまう話だと思います。しかしそれを敢えて投げかけて、考え直すという事が大事だと言ってるように思えます。正義が大前提であるべき諸状況への考え方が米国でも日本でも、風化?しつつあるのでは?という所に共感します。
Posted by ogawa-Pogawa-P at 2010年10月10日 14:30
YURIKOさんコメントありがとうございます。
Posted by ogawa-Pogawa-P at 2010年12月23日 11:19
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